【金沢大野湊発】骨董の器で、頂きま~す♪

「金沢大野湊かたかご庵」が贈る器とごはん、野の草花。 骨董と暮らす楽しみ、和文化をお届けします。

画本・宮澤賢治シリーズのこと。

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かつてパロル舎という出版社がありました。
wikiではこう紹介されています。

かつて存在した日本の出版社。第13回宮沢賢治賞を受賞した小林敏也のシリーズ『画本・宮澤賢治』(全15冊)をはじめ、印刷・造本にこだわった絵本・児童書を主に出版していた。小林のほか、赤い鳥文学賞受賞画家の金井田英津子の『猫町』、泉鏡花賞受賞作家寮美千子の小説、ブラチスラヴァ国際絵本原画展グランプリを受賞した出久根育のグリム童話『あめふらし』など、高く評価された作品群を世に送り出していた。

私、骨董の器を収集、販売しておりますが、
この収集癖をさかのぼると「本」でした。
本好きなうえに、本の編集にかかわっていたこともあって
本が増える、増える (笑)。
それもただ読むだけでは済まず、装丁の美しいものにも目がなく、
杉浦康平さん、菊地信義さんの手掛ける本を求め、
お気に入りは2冊買い、1冊は読む用に、もう1冊は蔵書用にと、保存する始末。
あのころは本当に美しく凝った本がありました。

さてそんな本数寄だったころに出逢ってしまったのが、
パロル舎から出版されていた『画本・宮澤賢治シリーズ』でした。
宮澤賢治にももちろん惹かれていたのですけれども、
手に取ってページをめくるごとにその画にぐいぐい惹きこまれていったのです。
それが今回の企画展の山猫あとりゑこと、小林敏也さんの画にふれた最初でした。
後生大事という言葉がありますが、4度の引っ越しのさなかにも、
この画本シリーズはずっと私の手元にありました。

小林さんの画はスクラッチボードの手法で描かれています。
黒く塗料を塗ったあと、画面をひっかき描いていくのです。
ということは、色鮮やかな画本の原画は、なんとモノクロなのです。
ではどうしてカラーなのとなりますよね。

カラーの印刷物(オフセット印刷の場合)は、
カラーで描かれた原画をマゼンダ(赤)、イエロー(黄)、シアン(青)、ブラック(黒)の4色で写真分解をして製版され、
この4版4色により原画の色に近づくべく努め印刷されたものです。
対して小林さんの画本は、色を調合して「特色」を作り、色数の分だけ原画が描かれ、
印刷用の刷版が作られ、刷り重ねて生まれています。
木版画の多色刷りをイメージするとわかりやすいでしょうか。
1枚の絵に、色ごとに版があり、刷られている。

画本・宮沢賢治シリーズは賢治の世界を表現するために、
特色の重ね刷り効果を考えながら、印刷技術を俯瞰して挑んだ作品。
それゆえこの宮澤賢治シリーズは、絵本ではなく画本と名付けられているのです。
おそらくイメージした通りの色、仕上がりのために、
小林さんは何度も印刷会社や出版社の編集者と打ち合わせを重ね、
画本を創造したことでしょう。
宮澤賢治の画本シリーズは、つくづく幸せな本だなあと思います。

しかし残念なことに、この画本シリーズを出版したパロル舎は、前述したように今はもう存在しません。
しかしその後、この手間暇かかる画本シリーズに理解を示しを手掛けてくれる出版社が現れ、
私たちは小林さんの描く宮澤賢治の世界に、
心置きなく再びまみえることができるようになりました。
今回の企画展では希少となったパロル舎版の画本シリーズと、
復刊を手掛ける好学社版が並びます。
紙やインクがちがい、印象、手触りも異なります。
ぜひ、この機会に画本・宮沢賢治シリーズをお手もとによせていただき、
賢治の作品世界を楽しんでいただきたいと思います。


 『山猫あとりゑ+かわうそ兄弟商會  ー賢治と藍いろー』 
2015年9月19日|土|―27日|日| 
10:00AM-6:00PM (*24日休。25日は11:00AMから)
会場:金沢大野湊かたかご庵 & ギャラリー&茶論もろみ蔵
入場無料
【作家在廊@かたかご庵予定】
9月21日 15時~17時30分 その後幻燈会会場へ
9月22日 10時30分~12時30分
9月23日 15時~17時
*多少時間が前後する場合がございます。

画本宮澤賢治シリーズの原画展示は、
かたかご庵ともろみ蔵の2会場で行います。
かたかご庵では、原画展示のほか、画本・ポストカード等の販売、画本原画複製オーダー受付、
かわうそ兄弟商會の理工系藍染雑貨販売を行っています。








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